第八回 追熟芋がやってきた (12/14)
追熟されたさつまいもが本格的に出回り始めました。
さつまいもの追熟とは、収穫後に特定の環境で保存することで、でんぷんが酵素の働きで糖に変わり、甘みが引き出されるプロセスです。この「追熟」によって、甘みだけでなく水分や旨味も増し、さつまいも本来のポテンシャルが最大限に発揮されます。
特に「紅はるか」は、追熟を経ることでねっとりとした食感と濃厚な甘さが際立つ品種です。これからの紅はるかは、まさに“自然のスイーツ”とも呼べる仕上がりになります。
蜜五郎でも12月半ばを迎え、追熟された紅はるかを丁寧に焼き上げています。焼き芋を焼いている最中、「ぐぅーーー」という音が聞こえることがあります。これは、さつまいもが石焼の熱を受けて水分と糖が絡み合い、トロっとした食感に仕上がるサインです。一度に25~30本ほど焼ける釜で焼いていると、それぞれのお芋から聞こえる音がまるで合唱のように響きます。是非、甘くてねっとりとした紅はるかの焼き芋を楽しみにいらしてください!
第七回 焼き芋は血圧を下げる効果が期待できる? (10/25)
サツマイモにはカリウムが豊富に含まれています。カリウムは、体内の余分なナトリウムを排出する働きがあり、高血圧の予防に役立つとされています。日本人は食塩の摂取量が多いため、カリウムの摂取が特に重要です。
焼き芋には100gあたり約540mgのカリウムが含まれています。「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、成人の1日あたりのカリウムの摂取目標量は、男性が3,000mg以上、女性が2,600mg以上(年齢によって算定値が変わる)とされています。
販売している焼き芋を一つ食べるだけで、1日の必要量のおよそ3割を摂取できます。日々の健康維持に、ぜひ「焼き芋」も取り入れてみてください。
第六回 さつまいもの保存期間は翌夏まで可能
最近では、さつまいもはスーパーなどで一年中手に入るようになりました。今回は、さつまいもの保存方法についてご紹介します。ポイントは以下の2つです。
1.キュアリング(傷を治す処理)
収穫後、さつまいもを30~33℃、湿度90~95%の環境で4日間ほど置くことで、収穫時にできた傷口にコルク層が形成されます。この層が腐敗菌の侵入を防ぎ、水分蒸発を抑えるため、長期保存が可能となります。
2.低中温保存(適正温度は13~14℃)
さつまいもの保存に最適な温度はいろいろな研究から13~14℃でした。この温度帯は、さつまいもの風味や品質を保つために設定されています。この温度で恒温管理された施設で保管することで、翌夏までの保存が可能です。保存技術の向上により、現在では一年を通してさつまいもを楽しむことができるようになりました。
第五回 焼き芋の香りはコーヒの香りに通じる
ある研究によると、サツマイモに含まれるポリフェノールの主成分はクロロゲン酸です。最近の研究では、クロロゲン酸には抗酸化作用(老化防止効果)、糖の吸収を遅らせる作用(太りにくくする効果)、メラニン生成の抑制(美白効果)などの効果があることが示されており、これらは現代の私たちにとって非常に魅力的です。サツマイモは5品種の平均で100gあたり228mgのクロロゲン酸を含んでおり、これは一杯のコーヒーに含まれる量と匹敵します。この論文では、焼き芋を作る際に生じる焦げの香りがコーヒーの香りに似ているとも記述されていますが、私がいつも焼き芋を作る際に楽しむ香りはコーヒーのそれとは異なり、食欲をそそられます。 焼き芋には焦げ部分を作るようにしていますので、ご購入の際にはその香りもぜひお楽しみください。(参考情報:「さつまいもの栄養機能成分と焼き芋の美味しい焼き方理論」より)
第四回「冷やし焼き芋」は甘い腸活スイーツ
私が作る「冷やし焼き芋」は焼き上げた後にゆっくりと常温まで冷まし、さらに専用冷蔵庫でしっかりと冷やすことで自然と糖度が高まります。実際に測定した2本の冷やし焼き芋の糖度が平均値で18.1%も高まり、格別の甘さを実現しました。
さらに、NHKの「あしたが変わるトリセツショー」で紹介されたように、お芋を冷やすことでお芋に残っているデンプンが消化されにくいレジスタントスターチ(難消化性デンプン)に変化します。このレジスタントスターチは食物繊維とともに腸内細菌の活動、育成を促し、免疫力向上に役立つ短鎖脂肪酸の生成を増やします。
今年の夏は、冷たくて甘い「冷やし焼き芋」で、健康的に腸活を始めませんか? (参考情報:NHK番組ならびにHPより)
第三回 投稿 焼き芋でも簡単にビタミンCを取得できる
焼き芋200gで、成人が1日に摂取するビタミンCの約半分を取ることができます。ビタミンCはコラーゲンの生成に必須であり、不足すると壊血病(かいけつびょう)を引き起こし、出血、顔色不良、貧血、筋肉減少などの症状が現れます。また、ビタミンCは毛細血管や歯を正常に保ち、日焼け防止や病気への抵抗力強化にも役立ちます。最近では、抗酸化作用が注目され、がんや動脈硬化の予防や老化防止に効果が期待されています。このような効能を持つビタミンCを簡単に摂取できる焼き芋は現代人の必須アイテム いかがでしょうか?
参考文献:サツマイモの栄養機能成分と焼き芋のおいしい焼き方理論(津久井亜紀夫著)、GOOGLE検索
第二回 投稿 焼き芋の甘みは化学反応の連携
私が焼き芋に使用している「紅はるか」は、その強い甘みとねっとりした食感が特徴です。焼き芋の甘みは、一般に加熱によってサツマイモ内部で起こる「糊化:こか」という現象から始まるとされています。糊化は、デンプン分子が加熱により規則性を失い糊状になることを指します。これによりサツマイモ内にあるアミラーゼという酵素がデンプンを糖に分解する反応が促進されます。特に「紅はるか」のような甘いお芋は、糊化が起こる温度が低いため、アミラーゼが作用する時間が長くなり、それによって糖度がさらに増します。
実際に、私が作る焼き芋では、糊化とアミラーゼの作用に適した加熱時間にすることで、糖度を高めています。
ぜひ、この独特の化学反応の連携によって甘みを増した焼き芋をご堪能ください。
第一回 投稿 焼き芋と食物繊維
食物繊維は体にとって不可欠な栄養素ではないものの、健康維持には欠かせない成分です。厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によれば、一日あたりの食物繊維の目標摂取量は、18~64歳の男性で21g以上、女性では18g以上が推奨されています。
焼芋は、総食物繊維量が3.5%含まれており、200gの焼き芋を摂取することで約7.0gの食物繊維を得ることができます。これは一日の目標摂取量の約1/3に相当します。食物繊維は大腸で善玉菌(ビフィズス菌など)によって短鎖脂肪酸を生成し、腐敗菌の増殖を抑える働きをすることで、健康に寄与していると考えられています。
私自身、開業前の試験焼き期間中に毎日のように焼芋を食べていたとき、毎朝のお通じが良くなったことを実感しました。それは今でも続いており、穏やかな日々を過ごしています。
情報の出どころ
・食物繊維推奨摂取量:GOOGLE検索より
・食物繊維の効能:サツマイモの栄養機能成分と焼き芋の美味しい焼き方理論
東京家政学院短期大学教授 津久井亜紀夫様著